Gratefulday2024 - 2/3

ずっとずっと憧れていたラウダ先輩が目の前にいる。しかも、いつも周りにいるフェルシーやペトラ、カミル先輩やお兄さんのグエル先輩もいない。本当に一人っきり。中庭の、こんなベンチに一人でいるなんてどうしたんだろう。ああでも憂いに眉をひそめて溜息を吐くラウダ先輩、あまりにも素敵。手にした紙袋の紐は緊張できっとぐちゃぐちゃだろう。でも、今しかない。「あのっ、」「ラウダ、ここにいたのか」声が重なる。柱の陰から出てきたのはグエル先輩だった。ああ、なんてタイミング。「どうしたの兄さん?」「いや、俺はあとでいい。お前に用があって来たんだろう?」視線を向けられ、順番を譲られる。優しいんですね、グエル先輩。「いえ、お二人の邪魔をするつもりは……」「……それとも俺に、か?」グエル先輩の興味がこちらに移った瞬間、ラウダ先輩がつかつかと歩いてきた。私とグエル先輩の間に立ちはだかるみたいに。「気付かなくて悪かった。何か用があったのか?」「ひえ、あの、」ち、近い。近い近い近い。しかもなんで笑顔!? 「りょっ、寮のみなさんで! 召し上がってください! いつも私たちのためにありがとうございます!」ちょっといい匂いがするとかラウダ先輩近くで見上げると結構身長高いんだなとかそんなことを口に出すわけにはいかず勢いのまま紙袋を突き出す。ラウダ先輩の後ろから「みんなで、か……」って呟く声が聞こえた気がするけど、私の全神経は「ありがとう」と薄く笑顔を浮かべるラウダ先輩でキャパオーバーだった。

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