Gratefulday2024 - 1/3

グエル先輩に感謝を伝えるには多くの障壁が存在する。まず、グエル先輩にふさわしい贈り物を探すこと。次に、グエル先輩のロッカー周辺に人がいない時間を見つけること。それから、グエル先輩に私なんかが贈り物をしてもいいのかと葛藤する己との戦い。でも、最大の壁は。「兄さんに何か用か?」「……ラウダ先輩」だらりと背中を冷や汗が伝う。爽やかな声音の筈なのに胃の腑がずしりと重くなった。「っいえ、何でも」「そうか」「はい! 失礼します!」みんなどうやってこの壁を乗り越えたというのか。グエル先輩に贈り物をした人たちは口を揃えて「気持ちは受け取ってもらえたみたい」「さすがグエル先輩」「誰かを特別扱いしないから余計に好きになっちゃう」と言ってるけれど、私はいつになったら一歩進めるのだろう。

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