珍しく予定通りに帰宅したヴィムは上機嫌そうに小瓶を差し出した。グエルの両手に丁度収まる程の大きさをした瓶には、色鮮やかな欠片が詰まっている。薄く霞がかった欠片は鉱石のように様々な形をしていた。
指先でつまみながら一つずつ取り出す。グエルは飴色、ラウダは空色の欠片を持ったまま明かりに透かしてみるが、向こう側は見えなかった。そのままグエルが口にするのを見てラウダも急いで一口かじる。シャリッと歯に当たる感触は初めてのものだった。口の中に広がる爽やかな甘さも。
「……おいし」
「な! ラウダは何味だった? おれのはレモンっぽい」
「うーん……?」
首を傾げるラウダの手をグエルが引き寄せた。何、と思う間もなく残った欠片を口に含むと、グエルは「ラムネだ!」と嬉しそうに笑う。鼓動がばくばくと跳ねるのを耳の奥で聞きながら、ラウダははちりと一つ瞬いた。
【ライト】「きっと」「琥珀糖」「瞬き」
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