負けず嫌い

ちらりと隙間から覗いた粘膜は熟れた果実のようだった。触れれば溶けて崩れそうなそれは、しかし想像以上の弾力でラウダの舌を押し返した。負けじと絡めれば僅かな痛みが舌先に走る。甘噛みした箇所を慰めるようになぞられて知らず肩が震えたのを、兄は見逃さなかった。にやりと悪戯な光をその目に宿したかと思えば吐息ごと呑み込むようにラウダの唇を塞ぐ。互いに視線を逸らすことなく口付けながら、二人はベッドへ倒れ込んだ。

【果実】「震える」「塞ぐ」「鏡」

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です